「家電リサイクル法」よりもデポジット制度の方が、不法投棄を防ぎ、回収率を上げるためにはるかに効果的です。民間団体としてデポジット制度の導入にもっとも早く取り組んだところは、生活学校でしょう。
たとえば秋田市では、1981年からミニ・デポジットの実施、空き缶回収機設置などの活動をおこない、京都、大分、六郷(東京)などでも、自治体などとともにとくに空き缶ポイ捨てを減らすためのデポジット制度の導入をめざし、現在も息長く活動しています。1997年9月、全国生活学校連絡協議会などの主催する「あしたの日本を創る運動全国大会」ではデポジット制度の早期実現に向けての決議もしています。
それ以外にも全国各地の消費者団体は、さまざまな形でデポジット制度の導入を自治体に求めたり、実際にイベントでデポジットを実施したりしてきました。このような活動は、どちらかというと散乱ごみ対策としてのデポジット制度の導入というものでした。
最近になってとくに、容器についてリユース、リサイクルの推進ということが強くいわれるようになり、その手段としてのデポジットがあらためて注目を浴びるようになりました。1997年4月、容器のリサイクル対策として登場した「容器包装リサイクル法」は、たしかに事業者に再資源化義務を認めましたが、その負担はきわめて軽いもので、自治体に多くの負担を強いたままでした。
それにごみの発生回避(リフューズ)と再利用(リユース)にはほとんど効果のないものでした。これには多くの市民、消費者団体は、このままではいつになってもごみ問題は解決しないという危機感を持ちました。
とりわけ通産省、厚生省、農水省、建設省などがそれぞれの所管業界ごとに縦割りの廃棄物法、リサイクル法を制定しているという中央省庁主導の構造を変えなければ、ごみ問題解決の前進はないという共通認識ができてきました。ドイツの「循環経済・廃棄物法」0996年)は、循環型経済を実現するために事業者の生産者責任を定めたものです。
わが国でも、このような基本法があればもっと効果的な法律ができるでしょう。しかし環境後進国のわが国では、ドイツのような事業者責任を正面から定める法律の実現はすぐには不可能です。
そこで次善の策として、まずデポジット法などの個別法を作っていき、「備環型経済社会法」の制定に結び付ける方が現実的です。1997年4月26日、「容器包装リサイクル法」の施行とほぼ時を同じくして、市民、学生、学者のほか、主婦連合会、生活学校連絡協議会、全園地域婦人団体連絡協議会、全国消費者団体連絡会、東京都地域消費者団体連絡会、日本消費者連盟、古紙問題市民行動ネットワーク、消費科学連合会などの団体のネットワーク組織として「デポジット法制定全国ネットワーク」(略称「デポネット」)が発足しました。
このネットワークは、市民自らが、循環型経済社会の実現をめざし、その一手段として、ごみ減量のための公正で効果的なシステムとしてデポジット制度に着目し、その法制化をめざすことを活動目的としました。デポネットは、消費者、市民が自らの手で法案を作り、超党派の議員立法による全国一律の「デポジット法」制定に向けて活動することを宣言しました。
デポネットを立ち上げてから、札幌市、秋田市、仙台市、新潟市、東京都、八丈町、千葉市、京都市、岡山市、広島市、福岡市、熊本市、宮崎市、徳島市、高知市など地域のNPOが開催するシンポジウムや学習会に参加してきました。どの会場でも、「ごみ処理費用の自治体負担には限界があるごみ問題の解決には、ごみになる物を作ったり、ごみを捨てたら損をするしくみが絶対に必要だ」という声が圧倒的でした。
地元自治体の議員や職員の方が関心をもって参加し、発言されていたのが印象的でした。現在、札幌、宮城、千葉、三重、広島、高知、福岡、宮崎などが地域デポネットとして活動しており、地方議会でのデポジット法制定の意見書決議を求める陳情活動や、商店街やイベントでのローカルデポジットの実行や支援、デポジット法制定の署名運動などの活動を進めています。
福岡ではすでに10万人署名も集めました。なお、デポネットではこれからもお招きがあれば、メンバーがし、つでもデポジット法の学習会にお話をしに行くことになっています。
地方自治体アンケートにおいて、デポネットでは、1997年9月から10月にかけて人口5万人以上のすべての地方自治体448カ所にアンケートを実施しました。回収数は297通で回収率は66.3%でした。
1.デポジツ卜制度がごみ減量や散乱防止に有効かどうか実に97%の自治体が有効であると回答しています。
2.デポジツ卜のメリット1散乱ごみの減少、2回収率が上がり、リサイクルが促進される、3自治体の処理費用が減少する、4リターナブル容器やリサイクルしやすL 、容器などへの転換が図れる、5受益者が処理費用を負担するので公平、などの回答がありました。
3.デポジット制度の対象とすべきもの瓶、缶、ペットボトル、電池、家電、乗用車、蛍光管、バッテリ一、トレ一、布団などがあげられました。
4.デポジッ卜制度の問題点「全国一斉でなければ実効性がない」「小売陪の負担が大きい」「小売店の保管場所確保が難しい」「リサイクルルートがないと集めただけになる」 などの回答がありました。
5 .I容器包装リサイクル法」について事業者の負担が軽すぎるという声が圧倒的で、「再商品化義務量を超える回収量の再商品化費用まで自治体がもつのは負担が大きすぎる」「この法律によってかえって使い捨て容器の利用を助長している」との指摘もありました。
国会議員アンケートデポネットでは、1998年6月に全国会議員を対象にデポジット制度についてのアンケートを実施しました(ただし7月の参議院選挙で新しく選出された議員70名についてだけ9月に実施)。
回答数は衆議院議員92名(回収率18.4%)、改選前の参議院議員50名(回収率19.8%)、新選出参議院議員24名(回収率34. 3%)でした。
回収率は決して高くありませんが、国会議員のおおまかな考え方はこの結果に反映されています。
1.デポジツ卜制度の効果と対象について138名.98%(新選出参議院議員は23名・96%)の議員が、ごみ減量などに効果があると回答し、デポジットの対象としては、瓶、缶、ペットボトル、電池、蛍光管、バッテリー、トレ一、紙パック、家電、タイヤ、乗用車などがあげられました。2.デポジット制度のメリッ卜ほとんどの議員が、リサイクルしやすい商品への転換やリサイクルの促進をあげていましたが、受益者負担の実現という点は約3分のlほどしかあげられておらず、やや意外でした。
3.デポジツ卜制度の課題議員の多くが、「小売店の負担が大きい」保管場所の確保がむずかしいことをあげていました。
4.デポジッ卜制度の法制化の必要性実に122名・86%(新選出参議院議員は21名・88%)の議員から、はっきりと「必要である」との回答がありました。
5.「デポジッ卜法検討プロジェクトチーム」(仮称)への参加意志またアンケートの質問として、デポネットで予定している超党派国会議員との「デポジット法検討プロジェクトチーム」(仮称)に参加する考えがあるかどうかを聞いたところ、ほぼ各会派から、衆議院議員については19名、参議院議員については5名(新選出参議院議員から4名)から、「プロジェクトチームに参加する」との回答がありました。
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